SIMも折り返し地点を過ぎこの宇宙船での生活がようやく『日常』になってきた。想像のつかなかった宇宙での生活も日常を繰り返すうちに「想像すること」もその生活の一環に。
しかし、“想像”とは生活においてだけすればいいのだろうか。この閉鎖空間の中で大事なことは信頼関係。常にそれぞれがそれぞれのことを考えてなければならない。つまり、自分の中での想像を自分の中でだけでなく、相手にそれを伝える。今度は“相手の気持ちも想像する”ことが求められる。要はコミュニケーションを取ること。想像の次のステップだ。
このステップを試される機会が訪れた。EVA(船外活動)#05でのこと。無線が常時明瞭に届かないことや焦りもあり、クルー、SHIPCOM(宇宙船管制)の間でうまくコミュニケーションが取れない。このとき両者は自分の中での想像で自己完結をしてしまい、相手の立場を想像するということをしていなかった。
宇宙での生活の中で感じる未熟さ、足りなさ。それを痛感し自分と向き合う。ここで学ぶことは本当に多い。
ジャーナリスト 高階美鈴